1998/12/1(火)[25w5d] 親切

席を譲られてしまった。
普段は通勤時間を早めにして空いているバスに乗り込む事にしているのだが、今日は遅く出た為、丁度やってきたバスに乗ったのだった。すると、私が立っている側の席にいた人が「どうぞ」と言って立ちあがったのだ。
コートも着ていることだし判りゃしないだろうと高を括っていたのだが、甘かったらしい。よもや、自分が席を譲られるようになろうとは。傍から見たらイッパシの妊婦に見えるんだなあ。などと、感慨しきりの通勤バスであった。
でも後で鏡で自分を見てみたら、どう見ても妊婦だった。そりゃそうか、7ヶ月だ。


1998/12/05(土)[26w2d] xkg−1066g=?

なんだか最近私の周囲では、妊娠ラッシュなのだ。勤め先に3人妊婦がいると以前書いたが、他にも私の非常に狭い交友範囲の中に妙に妊婦が多くなっている。そういうお年頃って事なのだろうか?
今日、髪を切りにいったら美容師さんが又妊婦だった。話を聞くと同じ7ヶ月なのに病院に行ったのは3回だけなんだそうな。「二人目だから」とは言っていたが、なにかっつーと病院に行っている私あたりに爪の垢でも煎じて飲ませたい話である。
そういえば、一昨日も病院に行ったのだ。定期検診。
推定体重は1066g。とうとう1kgを超えた。それはいいのだが、母体の体重の増加が胎児の体重の増加を大きく上回るというのはどういう事だろうか。以前と比べてそんなに食べる量が増えたとは思わないのだが....。いや、まあ、増えてるんだから食べてるんでしょう、きっと。でもなんか納得いかないんだよなぁ。
ダイエットしなきゃかなあ。


1998/12/09(水)[26w6d] ヌシ

実は私は痔主だったのだ。
それに気づいた時は、悲しかった。
痔主だなんて。どうせなるなら地主か馬主。神主は無理としても、飼主って手もあるし。それが駄目ならせめて牢名主でもいい。痔主はあんまりだよなあ。
妊婦と言うのは痔になり易いとは聞いていたが、よもや自分にそれが降りかかってこようとは。それほど悪化していない状況ではあるが、それでもトイレに行くのは気の進まない作業だったのだ。
このままでは肛門科の世話にならなければならないのだろうか。そうなる前に、素知らぬ振りで「オットが痔で。オホホホ」とかいって薬を買ってくるべきだろうか。はたまた、ヒサヤ大黒堂にはがきを書こうか。トイレの中で煩悶する私であった。
が、それも過去の話である。
何が良かったのかは不明だが、ふと気がついたら治っていたのだった。
ああ、良かった。
痔も治ったし、最近は腰痛もないし、腹はボコボコ動くし、最近は平和だなあ。と思っていた矢先、トイレに行ったら便器に血が!
これは切迫早産かと思い一瞬パニックに陥りかけたものの、落ち着いてみたら何かちょっと違う。
やっぱり私は痔主らしいのだった。


1998/12/14(月)[27w4d] 喉元過ぎる

そろそろ8ヶ月に入らんとしているのであった。
結構順応性の高い私は、こう何箇月も妊婦をやっているといい加減慣れてくる。
会社の妊婦などは自分の腹を見るとぞっとする等と言っていたので、そんなものかもしれんなあと思っていたのだが、私の場合はそうではないようなのだ。
かといって、「可愛いべいびー、大きくなあれ」なんてな母性愛に燃えているわけでも決してない。全くない。
ただ単に慣れちゃってるのであった。異様に膨らんだ腹部にも、時折動く腹の中身にも。思ったほど腹が重いって事もないし。たまに腹が張っても「おや、張ってる」で済むようになってしまった。
つい2ヶ月くらい前迄はびびりまくっていた筈なのだが。どうやら喉元過ぎれば熱さを忘れる典型らしい。


1998/12/17(木)[28w0d] 順調

寝る時の姿勢というのは癖というか好みというか、割と決まっているものではないだろうか。でもって、それを変えようったって寝てる間の事だから勝手に寝返りを打ったりなんだりして元に戻ってしまうんじゃないだろうか。
定期検診だったのだ。
胎児は推定体重1244g。母体の方は宴会続きだった割に体重はそれ程増えておらずほっとする。やはり、軽い衣服を選択するのと尿の提出を先にやっておくというのは重要なポイントであろう。
で、心霊写真のような超音波画像を見ながら医者は言ったのだ。
「今の処、頭が上にある状態、要するに逆子です。この時期だと良くある事だから心配しなくて良いですよ。胎児の背中が左側にありますから、横になる時には右を下にしてみて下さい。」
確かに私は左を下にして横になる事が多い。成る程、反対向きになれば良いのだな。
でも、寝てる時の事までは責任もてないよなあ。
何はともあれ順調である。


1998/12/20(日)[28w3d] 空とぶ妊婦

友人に会う為にトーキョーに行ってきた。
土曜日の夜明け前に家を出発。朝一番の飛行機で東京へ。
一人とは東京駅で待ち合わせ。一人は現在入院中の為、二人で病院に向かう。
病室であれこれ話をしていた間は快調だった。ところが食事でもしようと、車椅子に乗った友人と共に病院の食堂に行った処で貧血を起こしてしまったのだった。
はてさて、前日からの体調不良の所為か、早起き・朝飯抜きの所為か、長距離移動の疲れの所為か、久々の都会に興奮した所為か、念の為に飲んだ腹の張り止めの薬の副作用か、単に妊婦である為か。おそらくは全部まぜこぜになった結果であろう。それにしても、妊婦に起こり易いトラブルを次々にクリアしていく私なのであった。
しばらく休んだらすっかり良くなったのだが、戻りは私が車椅子に乗せてもらってしまった。全くどっちが病人なんだか。
宿泊地は浅草。丁度やっていた羽子板市を見る。翌日は合羽橋観光。それから昨日は来られなかった友人も加わって食事して帰ってきたのだった。
お腹が全然目立たないねえ、というのが友人の統一見解のようである。


1998/12/27(日)[29w3d] 風邪

不覚にも風邪をひいているのである。
火曜日あたりからのどが痛いとは思っていたのだ。そこで遊び呆けたのがいけなかったらしい。水曜日には鼻水が出始め、木曜日はもう洟がだらだら。金曜日はそれに加えて声がガラガラになった。それでも懲りずに夜更かしをしてたら、土曜には更に咳が出てきた。今は、時々咳込む程度に回復してきている。
妊婦の自覚が足りないとの謗りは免れない処であろう。一応、自分の名誉の為に言い訳しておけば、自分なりに悪化しないように気をつけてはみたのだ。セーター着込んだり、ビタミンCの補給に努めたり。
妊娠中でもこのくらいの週数までくれば薬を飲んでも支障はないのであるが、どうも怖くて飲めない。アルコールとカフェインは割と平気なのになあ。
幸いにして義母は旅行中で留守なのだ。義母がいたら滅茶苦茶心配することは想像に難くない。従って、帰って来る迄には何が何でも復活しておかねばと思っているのだった。あ、それって明日だ...。


1998/12/30(水)[29w6d] 年末

結局、義母が帰ってきた時にも風邪は治りきらず、水を使うから皿は洗うな、うがいをしろ、寒くないかストーブをつけようか、と至れりつくせりの生活を送っている私であった。
定期検診のため、病院に行ってきた。
年明けでいいかなと思いはしたのだが、風邪もひいたことだし、前回逆子だったのも気になっていたし。
わわわ、体重がマズイ。風邪をひいたというのに体重だけは増えているというのは納得がいかない。しかし現実は厳粛に受け止めねばなるまい。うーむ、これから年末年始だからなあ。更にマズイよなあ。
エコーの画像を見ながら、医者がこれは目、鼻、と説明してくれる。エコーの画像は相変わらず心霊写真のようで、思わず「怖いですねえ。」といった処、
「なーにを言ってるんですか。可愛いじゃないですか。」
そ〜おかな〜?この映像だけを見て可愛いと思えるほうが変わってると思うが。
順調に育っているようである。推定体重は1500g超。(母子手帳を忘れて行ったので正確な数字は忘れた)
逆子だったのも正常位置になったようである。なれない体勢で寝た甲斐があったというものだ。
それにしても胎児って、頭を下にしていて、血が頭に上ったりしないんだろうか。


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